株主無視は許せない

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2月23日にまじめにニッポン放送株を買おうかどうか検討していました。結局その日は、まだ株価が高いだろうということと、この先どうなるかわからない不安があってやめてしまったわけなんですが……。
その日夜になってニッポン放送から「フジテレビへの新株予約権の発行」の発表がありました。しかも無謀なほどの大量の新しい株を、フジテレビだけに。正直驚きました。
もし、わたしが23日にニッポン放送を買っていたら、顔を真っ赤にして怒っていたことでしょう。こんなことをされたら、一般の株主なんてすぐ吹っ飛んでしまいますよ。その会社を、その会社の将来性を信頼して、その会社のために大切なお金を出しているのに、会社はこれっぽちも株主のことなんて考えていないんだなという思いでいっぱいです。


最初は、株っていうのは一儲けするための、それこそマネーゲームの一種なんだと思っていました。でも、その考えが変わったのが、株を持っていた会社から送られてきた株主総会への参加を促す手紙であり、そこに記されてわたしに与えられた1票の議決権を見たときでした。(→「株主総会へのご招待」2004/01/09)
株を買うということは、その会社の経営に携わっていくことなんだということ。わたしなんて貧乏だから、何万票もあるうちのわずか1票の議決権ですけど、それでも経営にたいしてYES・NOを言う権利があるわけです。

今回ニッポン放送がやったことは、株を現在の倍以上に増やそうということ。これは、現在の1株の価値が半分以下になることと同じことです。
かつて出てきた「株式分割」でも株数が2倍や3倍になりますが、その場合は株主に均等に分割した分だけ分け与えているので1株の価値は減りますが株数は増えるので問題がないわけです。
しかし、ニッポン放送は増やした分の株はすべてフジテレビに持ってもらうわけです。他の株主は少しも増えずに、全体の株が増えた分だけ1株の価値が減ってしまうことになります。もし、株主のことを考えるならば、株を増やした分だけニッポン放送の収益が増えなければなりません。つまり今回の新株発行を正当化させるためには、今の収益を数年後には2倍以上にするビジョンがなければいけないわけです。
もちろん、そんなビジョンなんてないのは明白で、会見で現経営陣が言っていたようにライブドアを排除するためだけに、大量の新株を発行しています。
残念ながらこれは、大量の株を買わなくてはならないフジテレビにとってもマイナスのことですし、株主を敵にまわしたニッポン放送にとってもマイナスのことです。じゃあなぜこのようなことを決めたかといえば、現在の経営者がその地位を守ることを優先しているからに他なりません。
かろうじてニッポン放送の株価は暴落は免れました。もし通常の状況なら株価は一気に半分ぐらいまで急落しているところです。ふみとどまった原因は、新株を実際に発行するかどうかは未定だということ、フジテレビがある一定価格(1株5950円)でニッポン放送株を買い集めている(TOB)時期だということ、ライブドアがそのTOB価格よりも高い値段で買い取ってくれるだろうという思惑があることが挙げられます。


ライブドアが発行の差し止めを裁判所に請求したのは当然で、このニッポン放送の行為が商法に違反するからです。わたしはまず間違いなくライブドア側の訴えが認められると思っています。そうでなければ、今後突然増資を発表した会社に対して、株主は泣き寝入りするしかなくなってしまいます。
こういうことは考えたくありませんが、フジテレビが知り合いの政治家を通して、裁判所に圧力をかけて、たとえば「よろしく頼むよ」などと裁判官を取り込み、有利な判決をもらうような、そんなことをしないよう祈っています。
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